伊藤元重教授の復興増税コラムについて元記事はこちら。
一番悪いのがタイトルです。「つけを残すな」って、今回日本国民は何か悪いことでもしたんでしょうか?原発に関してはともかく、地震自体は明らかに天災でしょう。毎年こんな大地震が起こるわけではないので、社会厚生関数(知らない人は、社会全体の効用関数と思っておいてください)が凹関数(正確にはquasi-concaveでOKというべきか)なら将来世代(死んだ人は負担できないので過去の世代が負担するのは不可能)も含めて広く薄く負担するのが当然だと思います。
さっさと景気回復させないのは将来世代を貧乏にするので、それはそれで負担を増やしていることになっています。
その辺で売ってるマクロのテキストに従えば 均衡財政乗数(テキストによっては「均衡予算乗数」) = 景気対策効果 - 増税の景気悪化効果 なので、普通に景気対策するより効果は劣るでしょう(乗数効果についてはWikipediaにも解説あり)。
震災復興と社会保障では考えるべき期間が全く異なる(復興は最初の数年間にお金が一気に必要でしょうが、社会保障は人口ピラミッドの形状の問題があるので数十年はかかるでしょう)ため、やはり分けて考えるべきです。また、税金の取り方の問題と使い方の問題は異なる問題であり、それらをリンクさせて議論することは混乱の元です。
震災の長期的な影響は統計的にはほとんど出てきません。ダメージはあるはず(短期的には有意に出てくるので)ですから、復興過程で効率化しているということでしょう(同様のことを先日の日経新聞「経済教室」で大阪大学の大竹文雄教授が書いています)。個々の対策は必要でしょうが、マクロ的には「特別の」心配をする必要はない気がします。マクロ的には今こそ教科書的な対策が必要なんじゃないでしょうか。 |