野口悠紀雄教授のコラム (ダイヤモンドオンライン、2009.11.14)

経歴等はWikipediaを参照。

経済学者だけど内容に疑問のある記事。まず、以下の記事を見ましょう。

注:全文を読むためには、無料の会員登録が多分必要です。

わくわくしながら?1ページ目。

まず注目すべきは、以下で見るように、構成項目によって価格動向には大きな差があることだ。教科書的な意味の「デフレ」とは、すべての財・サービスが一様に低下することである。

これはその通りでしょう。一応付け加えるなら、「賃金」もね(「労働」という財の価格なので)。

しかし、現在生じている物価下落は、これとは異なるものだ。

そう判断してよいかは確認する必要があります。ではどのようにしてその判断に至ったのか?ということで、2ページ目。

つまり、サービスの価格がほぼ不変であるのに対し、工業製品、なかんずく耐久消費財の価格が下落しているのである。

確かにそうなってますね。

「工業製品の価格低下」という現象は、いまに始まったことではない。

それもそうでしょう。以下最後のページまで、工業製品の価格低下とその理由の説明が続きます。が、この現象からインフレ・デフレの話につながる説明は見あたりません(工業製品の価格低下の理由を「冷戦の終結とITの進歩」と断言していることにもけちをつけたくなりますが、論点がぼけるので置いておきましょう)。タイトルに「物価下落の実態は相対価格の変動」とあるのですから、「物価下落の実態は何か?」を説明しないと意味ないと思います。言いたいのは「みんなが言う物価の下落は工業製品の価格低下のせいで消費者物価指数が低下しただけで、デフレじゃない」ってことでしょうか?

もしそれが正しければ、1つ問題があります。工業製品の価格低下は「世界的な現象」(本人が言ってます)なのに、「日本だけ」が金融危機前からデフレって騒いでいる(特にアメリカは危機以前にはインフレを問題視していたはず)んですが、おかしくないですか?つまり、日本特有の要因を探す必要があるわけです(または、他の全ての国では工業製品以外ほぼ全ての財について工業製品の価格低下を上回る価格上昇が観測されなければいけません。そのような現象が各国の金融政策以外の要因で起こるのであれば、その理由こそ聞いてみたいところです)。さらに、最後の記述も問題です。

したがって、今後ドル表示の石油価格が上昇するのは、十分ありうることである。最近の消費者物価下落の大きな要因である原油価格の低下は、一時的な現象である可能性がある。

消費者が心配すべきは、デフレでなく、インフレなのである。

石油価格の上昇だって相対価格の変化に過ぎないので、これをインフレにつなげてどうするんでしょうか。この先生は一度「コアコアCPI」でぐぐった方がいいと思います(言ってしまうと、食料及びエネルギーを除いた消費者物価指数のことです。これらは突発的な変動が大きいので、政策決定などで傾向を見るときには省いた方がいいという理由で考えられたものです)。と思ったら、1ページ目のグラフでちゃんと「食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合」という指標も出てきてますね。どういうこっちゃ?


トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2011-11-11 (金) 16:24:20 (4548d)

PCpylg}Wz O~yz Yahoo yV NTT-X Store

z[y[W NWbgJ[h COiq [ COsI COze