消費者余剰消費者行動と需要曲線では、消費者の行動から需要曲線が作られることを見た。ここではその逆、つまり需要曲線を使って効用を表現できないか、を見る。そうすれば、無差別曲線と予算線に戻らなくても消費者の選択についてもう少し詳しい話ができる。 準線形の効用と消費者余剰ここでは需要曲線の話なので財は1種類(前回使った内の「肉」にする)だが、選択を考える必要があるので「その他の財」として貨幣を考えることにする*1。肉の量をx、貨幣の量をyとする。 議論に便利な効用関数として準線形の効用 u(x,y)=v(x)+y を用いる(v(・)としては√やlogがよく使われる)。簡単化のため、v(0)=0としよう。今、予算がI,肉の価格がpであるとする(貨幣の価格は1とする)と肉の各消費量における効用は
のようになる。ここから
となる。ここから需要曲線の下の部分の面積は肉による効用v(x)を表すことがわかる(講義での図を参照)。肉の購入以外の分は貨幣の効用(I-xp)となる。すると、需要曲線と購入価格pで囲まれる三角形は「(総)効用−予算」となるので効用が大きいほどこの面積も大きい。これを「消費者余剰」という。 「v(x+1)-v(x)」は肉の消費が1単位増えたときの効用の増加分(専門用語で肉の「限界効用」という)であるから需要曲線は肉の限界効用を表した曲線と解釈できる。 ここでは肉の消費が1単位毎に行えるものとして分析したが、連続的に消費量を変化させても同様の分析が可能である。また、消費者が準線形の以外の効用を持つ場合にはこの議論は厳密には成り立たない。それでも、一般にはこの消費者余剰は効用を計るよい物差しとなっている。 税と消費者余剰財に税金がかけられた場合の消費者余剰の変化を見てみる。(講義で図による説明) |