*第8章後半 シュタッケルベルグ・モデル
※Microsoft Word 2007で作成した文書の数式が、学校のパソコンに入っているWord(バージョンは忘れた)で表示できない(互換性の問題?)ので、下付き文字はそのまま入力します)。

 数量競争のモデルにはクールノー・モデルとシュタッケルベルグ・モデルがある。
 クールノー・モデルでは競争企業が同時点で生産量(産出量)を決定するが、シュタッケルベルグ・モデルではある企業が先に生産量を決定し、そのあと別の企業が生産量を決定する。先に生産する企業をリーダー、後に生産する企業をフォロワーと呼ぶ。

 シュタッケルベルグ均衡の考え方
 リーダーはフォロワーの生産量を予測し、フォロワーがその分だけ生産した場合に自らの利潤が最大になるような生産量を決定する。フォロワーはリーダーの生産量を見て、利潤を最大化するように生産量を決める。

 費用関数c(qi) = cqi + F , i=1,2, とする。逆需要関数をp = a – bQとする。
 フォロワーの利潤の最大化条件はa - c - bq1 - 2bq2 = 0 その結果、予想される産出量はq2 = (a – c – bq1)/2b となる。
 その場合、リーダーの利潤の最大化条件は∂π1 / ∂q1 = (a-c)/2 – bq1 = 0
 結果として、リーダーの最適産出量はq1 = (a-c)/2b, フォロワーの最適産出量はq2 = (a-c)/4b , シュタッケルベルグ均衡は(q1,q2)=[(a-c)/2b,(a-c)/4b],  総産出量はQ = q1 + q2 = 3(a-c)/4b, そして均衡価格は p = (a+3c)/4, 利潤はそれぞれ π1 = (a-c)^2/8b – F , π2 = (a-c)^2/16b –F ,  厚生は15(a-c)^2/32bとなる。 

 シュタッケルベルグ均衡では、クールノー・ナッシュ均衡に比べて総産出量が多く、価格は低下する。

  
**企業の戦略的行動
 企業は競争上優位な立場を築くために生産設備を導入、研究開発投資などを行う。
***1.生産設備を導入する場合
 ある産業に、一つの企業(以後、既存企業と呼ぶ)が存在し、その産業への参入を考えている別の企業(以後、参入企業と呼ぶ)が存在するとき。
 均衡がどうなるかは、二段階に分けて考える。
 第一段階では既存企業が生産設備を導入し、第二段階において既存企業と参入企業が数量競争を繰り広げるものとする。
 既存企業の費用関数は、生産量(q1)が一定水準(K1)より多いか少ないかによって異なる。
q1<K1 のとき、費用関数を c1q1 = c1q1 + r1k1
q1>K1 のとき、費用関数をc1q1 = (c1 + 41)q1  とする。
 参入企業の費用関数はc2q2 = (c2 + r2)q2とする。
 逆需要関数は p = a &#8211; b(q1 + q2) とする。
 このとき既存企業の反応関数は、(q1<K1)の領域ではq1 = (a-c1)/b -2q2
(q1>K1)の領域ではq1= (a-c1-r1)/b-2q2となる。
 
 計算を単純化するためにc=c1=c2 , r=r1=r2,とすると、
 参入企業の反応関数はq2 = (a-c-r)/b - 2q1 となる。
 図より、企業1の産出量はq1=K1 である。これを参入企業の反応関数に代入して、q2 = (a-c-r)/b &#8211; 2K1 となる。
 結果として、均衡価格はp = c + r + bK1となる。
 利潤は、 π1=bK1^2   ,  π2=(a-c-r)K1 -2bK1^2 となる。
 クールノー・ナッシュ均衡での利潤はπ1=(a-c-r)^2/9b である。
 そこで、既存企業が生産設備を導入する場合とそうでない場合の利潤を比較すると、
 π1-π2 = b{K1 &#8211; (a-c-r)/3b}{K1 + (a-c-r)/3b} を得る。
 この結果から、もしK1 > (a-c-r)/3bが満たされるならば、既存企業は戦略的行動をとることによって利益を拡大することが可能である。
***2.研究・開発投資を行う場合
 ゲームの参加者を企業1と企業2とする。ゲームは2段階からなり、両企業は第1段階では次の段階を見据えて生産工程革新のためのR&D投資、そして第2段階では産出量(生産量)を選択する。
 逆需要関数をq(Q) = a &#8211; bQ とする。
 企業iの費用関数をci(qi,xi) = (A-xi)qi , A>xi とする。XiはR&D投資によって削減される単位あたりの費用を表す。Xiだけの費用を削減するために、企業はδxi^2/2だけのR&D支出を必要とする。
 企業iの利潤はπi = P(Q)q1 &#8211;(A &#8211; xi)qi &#8211; δxi^2/2 となる。
 両企業は相手の最適な生産量を予測し、その場合における利潤を最大化するように行動するので、均衡産出量は(q1,q2) = {(a-A+2x1-x2)/3b,(a-A-x1+2x2)/3b}が得られる。
 第1段階の最適投資のための条件は企業の利潤関数をそれぞれのxiで微分し、整理すると、4qi/3-δxi = 0,  i=1,2 が導かれる。
 この条件と産出量に関する最適条件から均衡産出量と均衡R&D投資はそれぞれq1=q2=3δ(a-A)/(9bδ-4) ,  x1=x2=4(a-A)/(9bδ-4) となる。
 R&D投資によって産出量は増加し、価格は低下する。この結果、消費者余剰が拡大し、消費者は利益を得る。


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