*外部性 ここでは政府が果たす役割について考えていく。 **外部性 財を生産するときに有害物質を発生させる場合、有害物質も一つの財と考えられる(ただし、goodsではなくbadsだが)がこれは市場によって効率的に生産されているのだろうか? 例:ゴミを野焼きするとダイオキシンが発生((ダイオキシンの主な発生源:ごみの焼却、金属精錬、紙などの塩素漂白工程など。http://www.erc.pref.fukui.jp/news/d00.html を参照。))する。 実は、このような場合には市場は効率的資源配分に失敗することがある。そこで、 -なぜ市場は効率的資源配分に失敗するのか -どのようにすれば改善できるのか を考える。 ''外部性'':ある人の行動が周囲の人々に及ぼす影響のこと。特に、それが -よい影響(効用・利潤が増加する)のときを「''正の外部性''」、 -悪影響のときを「''負の外部性''」 という。 今まで考えてきたケースでは外部性は存在しなかった。 人々は周囲の影響を考慮せずに財を生産・消費することが多く見られる。例えば、 -自動車の排気ガス -歴史的建造物、きれいな庭 -ペット -技術開発 さて、どのようにして市場が効率的資源配分に失敗するのかを公害を発生させる工場の例で見てみよう(図による説明)。この工場での生産は需要と供給によって決定される。供給曲線は工場の限界費用によって決まるが、工場は公害が近隣住民にもたらす悪影響を考慮しない。つまり、「社会的限界費用>私的限界費用」の状態になっている。社会的に望ましい(効率的な)状態は「社会的限界便益=社会的限界費用」である(今までは外部性が存在しないために、市場均衡ではこの状態になっていた)。 -負の外部性⇒(社会的に望ましい状態と比較して)過剰供給 -正の外部性⇒過小供給 **外部性の解決 外部性の問題は他の人々の費用や便益に及ぼす影響を考慮せずに財を生産・消費しているのが原因。よって、人々に外部性の影響を考慮させることが重要である(外部性の内部化)。そこで、解決法としてまず、 -財の所有権を設定して、当事者間で交渉(「''コースの定理''」)。 所有権がある=その財から発生する費用・便益は自分のもの。しかし、交渉に費用がかかる場合、コースの定理は成り立たない。 政府が外部性に対応することもできる。一つは -外部性により発生する限界費用(便益)分だけ税金をかける(補助する)(「''ピグー税''」)。 一般に、経済学者の好む方法はこちらである。しかし、政府は公害に対しては -指導・監督による直接規制 を行うことが多い。しかし、効率的な状態とちょうど等しくなるような規制をかけることは実際上困難である。また、直接規制がなされても更に厚生を改善する方法がある。それは -取引可能な排出権 を導入することである。 これ以外の解決法として、例えば養蜂家と果樹園(果樹園があると蜂蜜を生産しやすくなるし、蜂によって受粉がしやすくなる)の場合、両方の事業を行う(合併する)ことにより外部性が内部化されることが挙げられる。