需要と供給
ここでは市場での価格の決まり方を見ていく。
競争
- 完全競争:以下のような状態になっているとき、市場が完全競争的であると言う。
- 販売される財が同質
- 売り手や買い手の市場に及ぼす影響力がゼロ。価格受容者(プライス・テイカー)
cf. 独占、寡占(かせん)、独占競争的
基本的な経済学の理論では完全競争市場を取り扱う。
需要と供給
市場における買い手や売り手の行動を「需要」や「供給」という言葉で表現している。
- 需要(量):(人々が)買いたいと思っている&買うことの出来る財の量
- 供給(量):売りたいと思っている&売ることの出来る財の量
需要や供給はいくつもの要因によって決定されるが、当該財の価格に注目することが多い。
- 需要曲線:価格と需要量との関係。通常、右下がりのグラフ(価格が下落すると、需要量が増大)で表現される。
- 供給曲線:価格と供給量との関係。通常、右上がりのグラフ(価格が上昇すると、供給量が増大)で表現される。
- 均衡(市場均衡、競争均衡):需要曲線と供給曲線の交点。需要と供給の釣り合いがとれている状態。この交点での価格を「均衡価格」、財の量を「均衡取引量」と言う。
需要曲線や供給曲線を描くときには、当該財の価格以外の要因は変化しないものとしている。これを「他の条件を一定として(ceteris paribus)」という言葉で表現する。
「他の条件」って何?
- 需要曲線では、例えば以下の要因が挙げられる。
- 他の財の価格、特に当該財と関連する財*1の価格
- 買い手の所得
- 買い手の好み(「選好」という)
- 将来についての予想(「期待」という)
- 買い手の数
- 供給曲線では、例えば以下の要因が挙げられる。
他の条件が変化した場合には、需要曲線・供給曲線はシフトすることになる。
- 超過需要:需要>供給。均衡より価格が低い場合に生じる。
- 超過供給:需要<供給。均衡より価格が高い場合に生じる。
需要と供給の法則
- 超過需要⇒価格上昇圧力
- 超過供給⇒価格下降圧力
∴価格が均衡に向かう
交換
市場経済ではある企業がコーヒーを作り、ある企業がパンを作り、労働者は労働力を提供し、・・・というように、財の交換(間に貨幣が介在しているが)が行われている。なぜ交換が行われるのか、交換する場合に何を持ち寄れば(生産すれば)よいのだろうか、なぜ自給自足しないのだろうか。
交換の利益
- 絶対優位:他よりもより少ない投入量で財を生産できる。
- 比較優位:他よりもより少ない機会費用で財を生産できる。
比較優位さえあれば、交換による利益が存在する。また、全ての財に比較優位を持つことはない。
例 クルーソーとフライデーの2人が生活するために魚やココナッツをとっている。2人は1時間に以下の数量だけとることができる。
| 魚 | ココナッツ |
クルーソー | 1匹 | 10個 |
フライデー | 2匹 | 30個 |