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講義資料

経済学入門のページを参照。

質問コーナー

レポートで書いてもらった質問等に答える(答えてないかも)コーナーです。一般からの質問やメールでの質問に対応するものではありません。講義中に答えたものは省略します。

講義内容の補足

インチキとその見分け方について

残念ながら、まっとうな(と思われてしかるべき)経済学者でもダメダメな議論をする場合はあります。

まともなテキスト書いてたりしますが、ダメなものはダメです。この場合は「専門外の内容について議論している」ことが原因かもしれません*1。私も人のこと言えた義理ではありませんが。具体的にどこがダメかについては、以下の通り。

消費税率を上げたら景気が悪くなる。多くの人がそう条件反射的に考えているようだ。

「他の条件を一定とすれば、消費税率をアップさせると上げた時点以降の消費が落ち込む」というならyesと言わざるを得ないはずです。普通はまず比較静学で考えるものだと思います。

経済学の教科書には、増税をしてもそれを全部歳出に回せば有効需要は増えると書いてある。均衡財政乗数の考え方だ。

均衡財政乗数は確かにマクロ経済学の教科書に書いてあります(均衡予算乗数かもしれないがここでは均衡財政乗数で統一しておく)が、そこには消費税なんて書いてません(税の種類については捨象されているから)。税の種類を問題にするなら、もっと細かい議論が必要でしょう。問題にしないなら(政府支出乗数>均衡財政乗数=政府支出乗数−課税の景気縮小効果)でしょうから、この状況下では消費税うんぬん言ってないで「景気対策しろ」だけで十分でしょう。どのような財源調達方法でもコストが存在する(フリーランチはない)ことを考えれば均衡財政乗数(定義を考え直す必要あり)のみ考えることになりますが、普通の教科書ではこの辺の議論は短期の分析(IS-LM)している箇所にあるでしょうから、教科書を引いてくる議論ならそこまで考えなくていいでしょう。

3年後に反動で消費が大きく落ち込んでしまうのではないかと心配する人もいる。それなら、3年後から、何年かにわけて1%か2%ずつ税率を上げていけばよいだろう。

増税の期待が「そのうち増税される」から「3年後に増税される」に変わってしまうので、(少なくとも高齢者の)「今」の消費が冷え込むでしょう。

借金を増やさず、大きな規模の景気対策を行い、その上社会保障の財源に必要な消費税率の引き上げができるのだ(税率アップの後の2年の税収増分は景気対策に使ってしまうが)。

ここでの均衡財政乗数は教科書での定義と異なるもののようです(教科書では政府支出の増分=増税額)。これでは「未定義の用語を使って議論する」のと変わりません。

財政が景気刺激になっているとは思えないと感じているとすれば、すでに深刻な財政赤字ドラッグの中毒になっているということだ。

単に景気対策が不十分という可能性を無視しています(金融政策についての言及がないですし)。

日本はできる手段を総動員して景気てこ入れをしなくてはいけない。

それはその通りですが、それを考えて出した結論が「消費税上げて景気回復」はひどすぎると思います。全体として、この議論をこの未曾有*2の不況の最中に行う理由が私には全くわかりません。

で、まとめ(+α)

追記:最近は「消費税増税には」こだわらなくなったようです。

ただ、相変わらず言っていることはいまいちに思えますが。「相続目的の消費税」ってのはこの説明ではよくわかりませんし、「増税をしなくても少子高齢化が乗り切れると考えている人は、・・・新自由主義者か、・・・経済音痴だけだろう。」という表現は、ただのレッテル貼りに過ぎません。好意的に解釈すれば、紙面?の制約からくる説明不足なだけなのかもしれませんが。


*1 あれ、マクロ経済学のテキストも書いてるな・・・。専門とは書いてないが。
*2 「みぞゆう」ではありません。

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