ゼミ生向け/産業組織の経済学/第1章
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*第1章 産業分析の基本概念 **1 コストとその決定要因 ***1.1 限界費用と平均費用 限界費用とは、生産量を増加させたとき、費用がどの程度増えるかを表したものである。費用曲線の接線の勾配としてあらわされるため、生産費用を増加させる必要はない。1単位の労働増で、労働の限界生産性分の生産増があるため、1単位の生産増には1/限界生産性の労働投入 が必要である。 図1.1 総費用曲線 図1.1より、企業の生産量をq、qを生産するために必要な総費用をC(q)とし、限定費用をMCとすると、 となる。 また、限界費用を次のように定義できる。すなわち、生産量を微少量増加させたとき、それにともなって費用がどの程度増加するかを、費用の増加分を生産量の増加分で割ったもので表す。これはグラフでは総費用曲線の傾きに等しくなる。~ 一方、平均費用とは、生産1単位当たりにかかる費用のことで、総費用を生産量で割ることで求めることができる。平均費用は、図1.1に示すように、総費用曲線の各点と原点を結んだ直線の傾きである。固定費用が大きく、生産量が小さいほど平均費用は高くなる。~ さらに、平均費用は企業の参入、退出遮断に重要な意味をもっている。ある市場に参入を考えている企業の参入後の平均費用が市場価格(市場において、需要と供給との関係によって現実に成立する価格のこと)を下回る場合、すなわちレント(参入後の収入−参入費用を含めた総費用)が正である場合には新規参入することになる。また、市場に参入している企業は、平均費用が市場価格を上回っていれば、退出することになる。このように、限界費用は企業による生産規模の決定の重要な決定要因であり、平均費用は企業の参入・退出判断の重要な決定要因である。 ***1.2 規模の経済と企業数 規模の経済とは生産規模の拡大に伴ってコストが下がり、効率が上昇することであり、 生産関数の各生産要素をすべて一定割合で変化させた場合の生産量の変化を指す。 図1.2 平均費用曲線と限界費用曲線 たとえば、図1.2の区間DEのように、 < ならAC( )>AC( )が成立するような場合である。規模の経済がある場合には、生産を1企業または1工場に集中したほうが分散した場合よりも生産費用は低下する。qの生産を一ヶ所に集中すれば、q×AC(q)の生産費用が必要であるが、もし2ヶ所に分割して生産すれば、 2×(q/2)×AC(q/2)=q×AC(q/2) の費用を要する。規模の経済があれば、AC(q)<AC(q/2)であり、生産を集中したほうが費用は小さくなる。~ 範囲の経済とは、同一企業が生産品目の範囲を広げ複数品目を生産するほうが、各品目を別々の企業が生産するよりも効率がよいことである。たとえば、ある技術や技能を2つの製品に活用できれば、範囲の経済が発生する。~ また、自然独占とは、その産業分野の有する自然の条件や技術的な特性によって、競争的となりえず、必然的に独占状態となることである。産出の限られた天然資源、電力などの公益産業にみられる規模の経済性などが原因となる。 ***1.3 機会費用 生産費用は企業が生産に利用する原材料、中間材料、機械、労働力などの生産資源、 費用を合計したものである。~ 機械費用とは、ある生産要素を特定の用途に利用する場合に、それを別の用途に利用したならば得られたであろう利益の最大金額を指し、実際の生産額の費用とする概念のことである。たとえば、工場に製品A、BそしてCのいずれか一種類の製品を生産する可能性があるとする。この工場でAを生産する場合の機会費用は、B、あるいはCを生産した場合に得られる収入のうち大きい方である。この工場にはBまたはCを生産する可能性(機会)もあるが、Aを生産することによってそうした機会を失うことに対する代価という意味で機会費用と呼んでいるのである。Aの生産によってその機会費用を上回る収入を得ることができれば、生産資源を最も有効に利用していることになる。 ***1.4 サンク・コスト すでにある案に費用を支出したあとで他の案に変更したとき、その費用のうちもはや回収できなくなった部分をサンク・コストという。油田が枯渇した場合の開発費の未回収分などがその例である。ただし設備などの固定資産の場合、それまでの償却額は除く。~ サンク・コストは企業の参入・退出判断に重大な影響を及ぼす。企業が赤字であっても、費用のうちサンク・コストを除けば黒字になる場合、すなわち準レント(企業の収入−サンク・コストを除いた生産費用)が正であれば、企業は退出しない。また、サンク・コストにあたる費用を支払って企業が参入した後で、競争激化の結果赤字になったとしても、企業は退出しにくいため、サンク・コストが大きければ企業は参入にも慎重になる。 **2 需要、競争そして経済厚生 ***2.1 需要の価格弾力性 需要の価格弾力性、あるいは需要の価格に対する弾力性は、価格の変化率と需要の変化率の比として定義される。価格の変化率とは価格の変化量/元の価格の水準であり、需要の変化率とは需要の変化量/元の需要量である。すなわち、需要の価格弾力性=−需要の変化率/価格の変化率となる。つまり、需要の価格弾力性とは、需要の変化率と価格の変化率の相対的な大きさとして表される。 ***2.2 消費者余剰、生産者余剰そして経済厚生 最も効率的な状態では、金額表示した消費者全体の便益(U(Q))と、それを実現するためにようする産業の総コスト(C(Q))の差(すなわち経済厚生 W=U-C)が最大となっていなければならない。~ 経済厚生は消費者余剰と産業の利潤の和に等しい。Qを消費することによる消費者余剰(CS)とは消費者の効用とQを入手するために消費者が実際支払う額(P×Q)との差である。 CS=U(Q)−PQ また、産業の利潤は、収入とコストの差であり、さらにコストを変動費用(生産費用のうち生産数量の変化とともに増減する費用。原材料や労賃などが相当する)(VS) と固定費用(生産費のうち、生産量の変化に関係なく一定額を要する費用。地代・利子・減価償却費など)(FC)に分けると C=VC+FC ここで、PS=PQ−VCは生産者余剰である。これを使えば、 W=CS+PS+FC となる。すなわち、経済厚生は消費者余剰と生産者余剰の合計から固定費用を差し引いたものに等しい。(青木) ***2.3 生産水準の効率性と競争 ある製品を生産する技術を条件とした場合、経済厚生を最大にするための二つの条件として、。僂凌綵爐最適で、∋唆箸砲茲辰洞ゝ襪気譴襪修寮宿覆龍ゝ詢味僂紡个靴董∩軾駘傳叩複僉砲最小であるということが挙げられる。 これには、企業が規模の経済を効率的に活用できる水準で生産できる市場構造(企業数)が実現しなければならない。 企業が1単位生産を増加させるために必要な費用(限界費用MC)が、生産増加による消費者の効用増大(限界便益MB=dU/dQ)を下回っていれば、生産増加によって消費者の効用を高め、企業の利潤を高めるので、効率的ではない。 逆に限界費用MCが限界便益MBを上回っていれば、生産を減少させることで経済厚生を高めることができる。したがって、効率的な状態では、 MB=MC (5) となるまで、供給量Qが調整される必要がある。また、各消費者は限界便益が価格(P)と等しくなる水準まで消費をする(MB=P)ので、 P=MC (6) とすることもできる。 他方、企業に価格支配力がなく企業がプライステイカーの場合、企業のdqの増産によって企業の収入はPdqだけ増えると企業は認識しているので、企業収益の変化dIIは、 dΠ=(P―MC)dq (7) となる。 この結果、P>MCなら、各企業は増産し、市場価格Pは低下する。P<MCなら、各企業は減産し、市場価格は上昇する。 ここで、価格と限界費用のとのギャップがある状態(図1.3P(Q*)>MC(Q*))からdQだけ増加したとする。経済厚生の変化は、 dW=(P―MC)dQ (8) となる。 したがって、ある企業行動が産業全体の供給量を拡大するなら、それは、(8)式より、経済厚生を高めるものとされる。また、(7)と(8)がより、完全競争市場の場合、利潤を高めるために企業が行う供給行動は経済厚生を高めることとなる。競争的な市場では、,鉢△両魴錣同時に成立する。 ***2.4 企業規模の効率性と競争 企業の参入・退出が自由である場合、市場均衡では、 P=AC(qE) (9) がほぼ成立する。さらに、完全競争均衡では、(6)からP=MC(qE)であるので、 (9)と合わせてMC(qE)=AC(qE)が成立する。したがって、参入・退出が自由である完全競争均衡では、産業供給の総費用が最小になるように市場構造(企業の数)が決定される。 **3 市場構造、企業行動そして市場の成果 [#h051516f] 産業の分析を行うのに有用な枠組みであるのが、市場構造、企業行動、市場の成果である。産業組織の経済学の核心は、市場成果を高めるための市場構造、企業行動そして、政策のあり方を探ることである。 伝統的な産業組織論では、構造が行動を決め、行動が成果を決めると考えられてきた。このアプローチの仕方は、実証的なデータやケース分析から有効な面があるが、誤解を招く場合も考えられる。 それは、アプローチの仕方が、単方向的(市場構造→企業行動→市場成果)であり、市場構造と企業行動とに、同時に影響を与える需要と供給の基礎的条件の影響にも着目する必要がある。また、政府の政策には市場構造を直接の目標とするもの(電気・ガスや事業者の新規参入・退出を禁止)や、企業行動を目標にするもの(電気やガスの公共料金の設定)もあり、何を目標にし、手段にしているのかを考えていく必要がある。 **質問その他 -第一章前半部分についての質問があります。三ページの真ん中あたりにある、「あるいは微分を使うと」の次の「MC=dC/dq・・・」という記述がありますが、d(AC×q)/dqからどう変形するとAC+q×d(AC)/dqになるのかが、わかりませんでした。(寺) -少し体裁を整えておきました。詳しくは[[簡単な書き方]]や[[ヘルプ]]を。(鈴木 4/21) -寺くんへ 数学のテキスト持ってたら、ゼミに持ってくるように。(鈴木 4/21) -別ページにアップされていた分をこちらに持ってきておきました。(鈴木 5/9) -練習問題3について(口頭で言っただけだと後日忘れていそうなのでメモ)。略解は正直参考にならない。言いたい結論がひっくり返っているようだし。規模の経済を産業間で比較したいようだが、定義がない。生き残れる産業数は財の需要にも依存するだろう。(鈴木 5/19) -青木さんへ。資料の出所はこっちにもメモっておいて。(鈴木 5/19)
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*第1章 産業分析の基本概念 **1 コストとその決定要因 ***1.1 限界費用と平均費用 限界費用とは、生産量を増加させたとき、費用がどの程度増えるかを表したものである。費用曲線の接線の勾配としてあらわされるため、生産費用を増加させる必要はない。1単位の労働増で、労働の限界生産性分の生産増があるため、1単位の生産増には1/限界生産性の労働投入 が必要である。 図1.1 総費用曲線 図1.1より、企業の生産量をq、qを生産するために必要な総費用をC(q)とし、限定費用をMCとすると、 となる。 また、限界費用を次のように定義できる。すなわち、生産量を微少量増加させたとき、それにともなって費用がどの程度増加するかを、費用の増加分を生産量の増加分で割ったもので表す。これはグラフでは総費用曲線の傾きに等しくなる。~ 一方、平均費用とは、生産1単位当たりにかかる費用のことで、総費用を生産量で割ることで求めることができる。平均費用は、図1.1に示すように、総費用曲線の各点と原点を結んだ直線の傾きである。固定費用が大きく、生産量が小さいほど平均費用は高くなる。~ さらに、平均費用は企業の参入、退出遮断に重要な意味をもっている。ある市場に参入を考えている企業の参入後の平均費用が市場価格(市場において、需要と供給との関係によって現実に成立する価格のこと)を下回る場合、すなわちレント(参入後の収入−参入費用を含めた総費用)が正である場合には新規参入することになる。また、市場に参入している企業は、平均費用が市場価格を上回っていれば、退出することになる。このように、限界費用は企業による生産規模の決定の重要な決定要因であり、平均費用は企業の参入・退出判断の重要な決定要因である。 ***1.2 規模の経済と企業数 規模の経済とは生産規模の拡大に伴ってコストが下がり、効率が上昇することであり、 生産関数の各生産要素をすべて一定割合で変化させた場合の生産量の変化を指す。 図1.2 平均費用曲線と限界費用曲線 たとえば、図1.2の区間DEのように、 < ならAC( )>AC( )が成立するような場合である。規模の経済がある場合には、生産を1企業または1工場に集中したほうが分散した場合よりも生産費用は低下する。qの生産を一ヶ所に集中すれば、q×AC(q)の生産費用が必要であるが、もし2ヶ所に分割して生産すれば、 2×(q/2)×AC(q/2)=q×AC(q/2) の費用を要する。規模の経済があれば、AC(q)<AC(q/2)であり、生産を集中したほうが費用は小さくなる。~ 範囲の経済とは、同一企業が生産品目の範囲を広げ複数品目を生産するほうが、各品目を別々の企業が生産するよりも効率がよいことである。たとえば、ある技術や技能を2つの製品に活用できれば、範囲の経済が発生する。~ また、自然独占とは、その産業分野の有する自然の条件や技術的な特性によって、競争的となりえず、必然的に独占状態となることである。産出の限られた天然資源、電力などの公益産業にみられる規模の経済性などが原因となる。 ***1.3 機会費用 生産費用は企業が生産に利用する原材料、中間材料、機械、労働力などの生産資源、 費用を合計したものである。~ 機械費用とは、ある生産要素を特定の用途に利用する場合に、それを別の用途に利用したならば得られたであろう利益の最大金額を指し、実際の生産額の費用とする概念のことである。たとえば、工場に製品A、BそしてCのいずれか一種類の製品を生産する可能性があるとする。この工場でAを生産する場合の機会費用は、B、あるいはCを生産した場合に得られる収入のうち大きい方である。この工場にはBまたはCを生産する可能性(機会)もあるが、Aを生産することによってそうした機会を失うことに対する代価という意味で機会費用と呼んでいるのである。Aの生産によってその機会費用を上回る収入を得ることができれば、生産資源を最も有効に利用していることになる。 ***1.4 サンク・コスト すでにある案に費用を支出したあとで他の案に変更したとき、その費用のうちもはや回収できなくなった部分をサンク・コストという。油田が枯渇した場合の開発費の未回収分などがその例である。ただし設備などの固定資産の場合、それまでの償却額は除く。~ サンク・コストは企業の参入・退出判断に重大な影響を及ぼす。企業が赤字であっても、費用のうちサンク・コストを除けば黒字になる場合、すなわち準レント(企業の収入−サンク・コストを除いた生産費用)が正であれば、企業は退出しない。また、サンク・コストにあたる費用を支払って企業が参入した後で、競争激化の結果赤字になったとしても、企業は退出しにくいため、サンク・コストが大きければ企業は参入にも慎重になる。 **2 需要、競争そして経済厚生 ***2.1 需要の価格弾力性 需要の価格弾力性、あるいは需要の価格に対する弾力性は、価格の変化率と需要の変化率の比として定義される。価格の変化率とは価格の変化量/元の価格の水準であり、需要の変化率とは需要の変化量/元の需要量である。すなわち、需要の価格弾力性=−需要の変化率/価格の変化率となる。つまり、需要の価格弾力性とは、需要の変化率と価格の変化率の相対的な大きさとして表される。 ***2.2 消費者余剰、生産者余剰そして経済厚生 最も効率的な状態では、金額表示した消費者全体の便益(U(Q))と、それを実現するためにようする産業の総コスト(C(Q))の差(すなわち経済厚生 W=U-C)が最大となっていなければならない。~ 経済厚生は消費者余剰と産業の利潤の和に等しい。Qを消費することによる消費者余剰(CS)とは消費者の効用とQを入手するために消費者が実際支払う額(P×Q)との差である。 CS=U(Q)−PQ また、産業の利潤は、収入とコストの差であり、さらにコストを変動費用(生産費用のうち生産数量の変化とともに増減する費用。原材料や労賃などが相当する)(VS) と固定費用(生産費のうち、生産量の変化に関係なく一定額を要する費用。地代・利子・減価償却費など)(FC)に分けると C=VC+FC ここで、PS=PQ−VCは生産者余剰である。これを使えば、 W=CS+PS+FC となる。すなわち、経済厚生は消費者余剰と生産者余剰の合計から固定費用を差し引いたものに等しい。(青木) ***2.3 生産水準の効率性と競争 ある製品を生産する技術を条件とした場合、経済厚生を最大にするための二つの条件として、。僂凌綵爐最適で、∋唆箸砲茲辰洞ゝ襪気譴襪修寮宿覆龍ゝ詢味僂紡个靴董∩軾駘傳叩複僉砲最小であるということが挙げられる。 これには、企業が規模の経済を効率的に活用できる水準で生産できる市場構造(企業数)が実現しなければならない。 企業が1単位生産を増加させるために必要な費用(限界費用MC)が、生産増加による消費者の効用増大(限界便益MB=dU/dQ)を下回っていれば、生産増加によって消費者の効用を高め、企業の利潤を高めるので、効率的ではない。 逆に限界費用MCが限界便益MBを上回っていれば、生産を減少させることで経済厚生を高めることができる。したがって、効率的な状態では、 MB=MC (5) となるまで、供給量Qが調整される必要がある。また、各消費者は限界便益が価格(P)と等しくなる水準まで消費をする(MB=P)ので、 P=MC (6) とすることもできる。 他方、企業に価格支配力がなく企業がプライステイカーの場合、企業のdqの増産によって企業の収入はPdqだけ増えると企業は認識しているので、企業収益の変化dIIは、 dΠ=(P―MC)dq (7) となる。 この結果、P>MCなら、各企業は増産し、市場価格Pは低下する。P<MCなら、各企業は減産し、市場価格は上昇する。 ここで、価格と限界費用のとのギャップがある状態(図1.3P(Q*)>MC(Q*))からdQだけ増加したとする。経済厚生の変化は、 dW=(P―MC)dQ (8) となる。 したがって、ある企業行動が産業全体の供給量を拡大するなら、それは、(8)式より、経済厚生を高めるものとされる。また、(7)と(8)がより、完全競争市場の場合、利潤を高めるために企業が行う供給行動は経済厚生を高めることとなる。競争的な市場では、,鉢△両魴錣同時に成立する。 ***2.4 企業規模の効率性と競争 企業の参入・退出が自由である場合、市場均衡では、 P=AC(qE) (9) がほぼ成立する。さらに、完全競争均衡では、(6)からP=MC(qE)であるので、 (9)と合わせてMC(qE)=AC(qE)が成立する。したがって、参入・退出が自由である完全競争均衡では、産業供給の総費用が最小になるように市場構造(企業の数)が決定される。 **3 市場構造、企業行動そして市場の成果 [#h051516f] 産業の分析を行うのに有用な枠組みであるのが、市場構造、企業行動、市場の成果である。産業組織の経済学の核心は、市場成果を高めるための市場構造、企業行動そして、政策のあり方を探ることである。 伝統的な産業組織論では、構造が行動を決め、行動が成果を決めると考えられてきた。このアプローチの仕方は、実証的なデータやケース分析から有効な面があるが、誤解を招く場合も考えられる。 それは、アプローチの仕方が、単方向的(市場構造→企業行動→市場成果)であり、市場構造と企業行動とに、同時に影響を与える需要と供給の基礎的条件の影響にも着目する必要がある。また、政府の政策には市場構造を直接の目標とするもの(電気・ガスや事業者の新規参入・退出を禁止)や、企業行動を目標にするもの(電気やガスの公共料金の設定)もあり、何を目標にし、手段にしているのかを考えていく必要がある。 **質問その他 -第一章前半部分についての質問があります。三ページの真ん中あたりにある、「あるいは微分を使うと」の次の「MC=dC/dq・・・」という記述がありますが、d(AC×q)/dqからどう変形するとAC+q×d(AC)/dqになるのかが、わかりませんでした。(寺) -少し体裁を整えておきました。詳しくは[[簡単な書き方]]や[[ヘルプ]]を。(鈴木 4/21) -寺くんへ 数学のテキスト持ってたら、ゼミに持ってくるように。(鈴木 4/21) -別ページにアップされていた分をこちらに持ってきておきました。(鈴木 5/9) -練習問題3について(口頭で言っただけだと後日忘れていそうなのでメモ)。略解は正直参考にならない。言いたい結論がひっくり返っているようだし。規模の経済を産業間で比較したいようだが、定義がない。生き残れる産業数は財の需要にも依存するだろう。(鈴木 5/19) -青木さんへ。資料の出所はこっちにもメモっておいて。(鈴木 5/19)
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