「反」スタートアップセミナー

山形大学で1年次向けに実施されているスタートアップセミナーに色々納得がいかないので、書いてみます。いつ書き終わるかは分かりません。文体が統一されていませんが、思いついた順に書いており、そのときの気分で変わっているためです。書き上がってきたら修正するつもりです。

実施体制の変更について

2017年度より実施体制が変更されました。主な変更点としては

  • テキストの改訂
  • クラス分けを学部内での編成から全学単位での編成に。それによって、1つ1つのクラス内に(たぶん)全ての学部の学生が入ることに。
  • 授業の進め方の指定。設計図を作成とのこと。

です。変更理由としては、これまで医学部が大教室で実施していた(スタートアップセミナーは少人数クラスで実施するように設計していた)ため、他学部に振り分けて少人数教育を達成しようとしたのだと推測されます。負担教員数を増やさないようにしたこともあり、結果としてクラス人数の増大が発生しました(一部教室が工事中というのはありますが)。

制度変更の学生への影響

 全学単位での編成理由に「他学部生との親交を深める」ことを挙げているようですが、週1回90分の交流がどれだけ学生にとって有益かは不明です。小白川3学部以外は同じ敷地内で学生生活が継続するわけではないので、半年だけの付き合いです。同じ学部なら、同じ講義に出席する機会も多く、代返やノートの貸し借り・一緒に勉強するなど「学生にとっての」メリットも期待できますが、このメリットは明らかに同じ学部に所属する学生の増加関数ですから、この変更は学生にとって「卒業までの短期的に見て」改悪です。
 おそらく、卒業後のメリットを挙げることでしょうが、卒業後に1年次の交流が生かされるかは大いに疑わざるを得ません。あるとすれば、「学生のうちに生涯所得の高そうな他学部の異性と交際して結婚まで結びつける」くらいな気がします。これが重要だと思うなら、合コンでも企画してあげた方がいいと思います。
 そもそも、修学における目的意識も選好も異なるであろう他学部生と交流するのは同じ学部学生とのそれよりもハードルが高いです。人付き合いを不得手とする学生にとっては、スタートアップセミナー2単位のための苦労が増えます。このような学生は上記のメリットをあまり享受できないため、単位取得もそれ以外の学生より遅れがちと推測されます。単位取得の遅い学生の負担を増加させることは留年者数の増加要因であり、留年者数の増加は学部や大学の評価に影響を与えます。特に、学生数の多い学部や人付き合いを不得手とする学生を多く抱える学部への影響が大きいでしょう。
 画一的な教育はどのクラスでも同じ内容になることで公平だと主張しているようですが、目的も能力も異なる学生に対して同じ教育を行うことになります。学生レベルの底上げという観点(元々のスタートアップセミナーの目的はこれじゃないでしょうか?)からは駄目な変更だと考えます。足りない部分を埋めていくためには、学部別の方が適しています。画一的な教育が望みなら、大教室に全員集めて講義すれば内容は同じになります。講義後にグループ学習でも設定すれば、少人数教育にもなっています。今回の制度変更は医学部方式が(少なくとも一部)正しいことを認めることにならないでしょうか?

まとめると、以下の通りです。

  • 成績が下の学生に特に不利な制度変更
  • 学生の特性を無視した制度変更

制度変更の教員への影響

 2017年度は1クラス35人だそうです。実施に最適な人数かどうかを考えて決めたものではなく、教室の都合で決めたものでしょう。2017年度シラバスでは4回がプレゼンに当てられています。全てをプレゼンに当てたと仮定しても一人あたり費やせる時間は4*90/35≒10分です。指導や講評の時間も必要でしょうから、一人一人がしゃべるのはおそらく無理でしょう。何人かの代表がプレゼンするだけになるので、全員の訓練という理想にはほど遠い状況といわざるを得ません。教育効果の乏しいことが明らかな時間を過ごさなければならないため、教員のやる気はこれまでより減退するでしょう。
 また、半年だけしか関わらない他学部の学生を指導するインセンティブが教員にあると期待するのは無理な相談です。各学部の教員に「基板と専門どちらによりやりがいを感じるか?」と聞けば明らかでしょう。所属が学術研究院に変わったところで、脳内では主担当の学部に所属している感覚です。学部の評価が当該学部の主担当教員の活動によって決定されている限り、この状況は変わりません。

まとめると、以下の通りです。

  • 教育効果が期待できないことによりやる気が出なくなる可能性がある
  • 自分とあまり関係ない学生を指導することによりやる気が出なくなる可能性がある

テキストについて

2017年度では三訂版が利用可能です。しかしながら、どこが改訂されたのかの記述はありません。ざっと目を通した限り、以下の批判はどの版にも当てはまると思われます。

不明確な用語・目標

 「人間力を磨き・鍛える」の項では人間力・社会人基礎力・学士力なる言葉が登場します。参照している資料には

人間力については、「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」と定義されており、「人間性、基本的な生活習慣」、「基礎学力」、「社会人基礎力」、「専門知識」等を含むものと考えられる。 とあります(資料p.4)。また、同資料によると社会人基礎力の能力要素としては「主体性・働きかけ力・実行力・課題発見力・計画力・創造力・発信力・傾聴力・柔軟性・情況把握力・規律性・ストレスコントロール力」が挙げられており(資料p.14)、上の記述から「人間力」はより広い概念です。これらを90分*15回で身につけようということでしょう。実行可能性を横に置いたとしても、これらの項目について身についたかどうかをどうやって評価するのでしょうか?

無批判な手法の採用(1)−ディベート

無批判な手法の採用(2)−モックインタビュー

構成について

無理矢理2ページにまとめようとして破綻している箇所がある。例えば、

  • 「作文力を高めよう!」と「文の書き方の原則」は明らかに一続きだが、別項目の体裁を取っている。
  • 「要約と音読の効用」は2つの間に関係があるように書かれていない。

テキストについてその他

  • 記述が古くさい箇所がある。例えば、
    • 「ボキャ貧」(「読解力・傾聴力を身につける」の項)

その他の不満

改善案


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Last-modified: 2018-10-05 (金) 21:09:16 (1462d)