北野一氏によるデフレ克服についての意見

肩書きはJPモルガンのストラテジストとあるが、ストラテジストって何ですか?ってことでぐぐると、どのように投資すべきか分析してアドバイスをする人のことらしいです。もちろん、経済についてのまっとうな知識が要求されるはずですが・・・。

ところで、インフレにせよ、デフレにせよ、これを管理するのは「法・制度的」には 「物価の安定」を使命とする日銀であると思います。ただ、「経験的」には、そもそ も、インフレやデフレは「克服すべき」対象なのか、という疑問を持ちます。そんな に思うようにコントロールできるものなのかということです。

物価の安定が日銀の使命だと理解しているなら、コントロールできるか疑問を持つのが既におかしいんじゃないでしょうか。「使命とするのがおかしい」と主張したいならまだわからなくもないですが。また、「克服すべき」対象なのか(「=放っておいてもいいかもしれない」だと思います)とコントロール可能かという2つの主張は同じではないでしょう。

この人の頭にあるモデルは

(1)米国のインフレ率-日本のインフレ率=2.3%、
(2)米国のインフレ率≦2%

だそうです(モデルを示してくれるだけまだマシとは言えますが、残念ながらそれだけです)。ここから北野氏は次のことを主張します。

このデフレから抜け出すために、我々ができることは二つです。

(1)式に示されている構造を分析した上で、日米のインフレ率格差の縮小を図る。

(1)がなぜ固定されるかの説明はありません。北野氏の著作には書いてあるそうですが、読んでいないためわかりません。(1)が成り立っているのであれば、日米のインフレ率は常に連動します。北野氏の言う「インフレ率格差の縮小を図る」ことが可能なら、(1)は成り立ちません。少なくともどちらかは間違いです。

あるいは、(2)式に着目して、米国(FRB)のインフレ率目標を2%ではなく、 3%なり、4%に引き上げるようにお願いする。

(2)が成り立つことやこの主張が含意することは、FRBにはインフレ率を制御できるということです。このとき(1)が同時に成り立つと、日銀にはインフレ率を制御できません。FRBができるのに日銀ができないと考える(北野氏はそう考えているとしか思えません)のはおかしいのではないでしょうか。

日本には、デフレ脱却というと、二つの考えがあるように思います。一つめはとにか く日本銀行にお金を刷りまくれというリフレ派、もう一つは、潜在成長率の底上げが 大切だという成長戦略派です。どちらの考えも理解できますが、私の連立方程式が正 しいとするなら、この二つのグループは、ともに日本側の要因に注目するのみで、外 部要因を無視しすぎているように思います。米国は過去200年あまりの歴史のなか で、二度、深刻なデフレを経験しました。その一度目の1880年代のデフレは、結 局、南アフリカで金鉱山が発見されたことにより「克服された」と記憶しております。 要するに、外部要因です。

金本位制の時代には通貨量と金の保有量は連動しますので、金鉱山発見=金の保有量増加=通貨量増加(中央銀行が緩和したいとき)ですが、今は連動させる必要がありませんから、外部要因にかかわらず緩和できます。

ってことで、今回読んで思ったこと

  • 外資系だろうとダメなものはダメ
  • こんな人の言を真に受けて投資してるようでは心配

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Last-modified: 2012-03-09 (金) 12:59:09 (4430d)

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